『潜熱蓄熱材』という材料。なかなか聞き慣れない言葉ですが、実は我々の生活のなかにたくさんの蓄熱材が存在します。
ここでは潜熱蓄熱材のご理解を深めて頂くとともに、安全で安心便利な潜熱蓄熱材を床暖房以外に使用されている製品の紹介と、現在、研究開発を進めている内容を紹介しています。
たとえば水の場合、0℃以下になると水は氷に相を変化します。同じく0℃より高くなると氷は水に相を変化します。このとき【水→氷→水】に完全に相変化するまではその物質の温度は一定になります。

このとき出入りする熱を利用したものが潜熱蓄熱材の特長です。
当社の潜熱蓄熱材は、下のグラフのように融解点・凝固点(相転移点)を任意の温度に製造することが可能です。主原料にもよりますが、一般的に市場にある暖房用の潜熱蓄熱材は40〜57℃の範囲の材料があり、冷房用はおよそ10〜32℃の材料を使用しています。いわば高い温度で溶けたり凍ったりする氷のようなものです。

潜熱蓄熱材の最大の特長は、熱エネルギーの貯蔵技術です。下の絵のように熱エネルギーを必要としている場所・時間にシフトして利用できることが最大のメリットです。


潜熱蓄熱材に使用する主原料は、他の一般的な材料(水やコンクリート)より1L当たりの融解潜熱が大きいものになっております。

● 酢酸ナトリウム3水塩(CH3COONa・3H2O):おもに中温度域で暖房・温熱用として使用
● 硫酸ナトリウム10水塩(Na2SO4・10H2O):おもに低温度域で冷房・冷涼用として使用
潜熱蓄熱材(酢酸ナトリウム3水塩・硫酸ナトリウム10水塩、他 )は、お客さまの用途に応じて温度変更いたしますので、お気軽にご相談ください。

酢酸ナトリウム3水塩・硫酸ナトリウム10水塩は、我々の身近な生活の中にも利用されている安定した材料です。化学反応を発生せず、不燃性なので安全に取り扱いが出来る材料です。

種類 | 低温型 | 中温型 | |
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主原料 | 硫酸ナトリウム10水塩 | 酢酸ナトリウム3水塩 | |
相変化温度(融解/凝固)℃ | 10〜32℃ | 40〜57℃ |
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容器 | ブロー成型品・多重積層構造袋など |
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毒性・有害性 | 無毒・無害 | ||
耐久性(熱履歴) | 10,000回以上性能不変 |
【過冷却型蓄熱材】凝固点温度を下回っても相変化(結晶化)が起きない準安定状態を保っている潜熱蓄熱材

上図にあるように、相変化(液体→固体)すべき温度以下になっても状態変化しないで液状を保つことができます。しかし、液中にある衝撃や振動や摩擦といったエネルギーを加えることで結晶の種を生成し、今まで不規則に浮遊していた分子やイオンが突如、種結晶に向かって結合(凝固)を始めて、一気に凝固熱を周囲に放出します。
この現象を利用すると、以下の特徴があげられます。

●好きな時に発熱させることができる。
●加熱することで、繰り返して使用することができる。
●瞬時に最高温度にまで発熱させることができる。(⇔使い捨てカイロ)
●空気を必要とせず、水中で発熱させることができる。(⇔使い捨てカイロ)

潜熱蓄熱材を利用することで、いろいろな製品を生み出す可能性があります。